「ハンコ(印鑑)の種類一覧」個人印・会社印

行政書士の三浦です。

日本は、ハンコ(印鑑)社会と言われており、ハンコにはとても大きな効力があります。

例えば、お金を借りる際に必要な借用書に、ご自身のハンコが押してあったとします。

そして実際には、お金を借りておらず、借用書の文面をよく理解せずにハンコを押してしまったとします。

その場合に、お金を貸した貸していないで裁判になったとして、お金を借りていないという事実を証明しなくては裁判に負ける確率が高いです

また、「お金を借りていないという事実」を証明することはとても困難です。

一般的に「あった事実」を証明するよりも、「無かった事実」を証明することのほうが難しいからです。

つまり、裁判に負けた場合、実際にお金を借りていなくてもお金を返す(支払う)必要があるのです。

ハンコを押すタイミングはお金を借りる際だけではありませんが、ハンコを押すということは法律的にはとても大きな効力があることを忘れてはいけません。

ハンコの重要さを踏まえて、ハンコの主な種類をご紹介したいと思います。

ハンコの種類(個人)

実印

実印は、住民票がある市区町村役場に登録したハンコです。実印を登録する際には、運転免許証等の個人証明書を提出して行います。

実印を登録後、印鑑登録証明書を取得することができます。

印鑑登録証明書交付には、運転免許証等の個人証明書が必要になります。

つまり、実印と印鑑証明書双方を保持している場合、本人である可能性が高いと判断されるのです

そのため、実印と印鑑証明書のセットは、住宅ローンを借りる際など、大きな買い物の場合などに要求されることになります。

実印は個人にとってとても重要な位置付けなので、法律的に特別に扱われていて、国が強制的に個人の財産を取り上げる際でも、実印は取り上げてはならないことになっています。

実印の押し方は、署名(ご自身のお名前)にかかっていたほうが良いのか、それとも署名の横に押すべきなのかというご質問を良くいただきます。こちらは、特に規定はないので、どちらでも問題ございません。

銀行印

取引銀行に登録したハンコです。

銀行にハンコを登録しておくことによって、お金の引き出しの際などの個人確認を煩雑さを解消する役割を担っています。

しかし、銀行印には大きな危険があることも忘れてはなりません。

例えば、泥棒がご自身の銀行印を盗み、お金を引き出したとします。

その場合、銀行は銀行印があれば、引き出し等に応じてしまいます。

加えて、銀行は原則として責任を負いません。正規の銀行印を有している人にお金を引き出させているからです

つまり、銀行印は、大きな個人の財産とも考えられます。保管にはくれぐれも注意が必要になります。

認印

実印や銀行印以外のハンコのことです。

宅急便の受け取りなど普段の生活の中で使用するハンコです。100円均一でも気軽に購入することができます。

しかし、認印であっても、法的書類の効力がなくなるわけではありません

つまり、お金を借りる際の借用書に認印を押した場合でも、書面の効力は変わらないのです。

ハンコの種類(会社)

代表者印

会社の実印と考えてください。

丸いハンコなので、「丸印」とも呼ばれ、一般的に「株式会社〇〇 代表取締役印」などと彫られています。

会社の重要な契約の際などに必要です。

社印

会社の認印と考えてください。

四角のハンコなので、「角印」とも呼ばれ、一般的に「株式会社〇〇之印」などと彫られています。

領収書や社外に出す文書などに押されます。

割印

割印は、2つの文書にまたがって押すハンコになります。

そのため、縦長のサイズになっています。

一般的に「株式会社〇〇之印」などと彫られています。

正本と副本にまたがって割印を押すことで、間違いなく対の書類だと証明することができます。

Tabi Joy
「個人印」「会社印」ともにご説明の上から順に、効力が大きくなります。例えば、借用書に実印or認印を押したとします。

双方ともに効力に相違はないのですが、反証する場合に大きな違いがあります。

実印は役所に登録する手間だけでなく、ハンコ自体を高価な物を使用している場合が多いと思います。

しかも、実印は大切に保管されていることが多いでしょう。

その実印を取り出して、ハンコを押したのであれば、十分な確認と明確な意思があったと判断されやすいと言えます。

一方、認印は100円均一でも購入することができ、悪意のある人が、簡単にご自身の代わりに押してしまうことも考えやすくなります。

どちらが重い判断となっているかは、一目瞭然です。

ハンコの種類で効力の違いはありませんが、決断の重さの違いはあると言えます

指印の効果は

指印とは、指の指紋をハンコ代わりにするものです。

指紋は一人一人異なるので、個人証明になります。

しかし、民事裁判では、指印は実印ほどの効果はないと示しています。

書面の指印と適合する人物を証明することは容易ではないからです。例えば、「指印を採取することを拒否されたら」「指印を押した人が明確でなかったら」、証明が難しいのです。

つまり、契約等を間違いなく遂行するためには、指印でなくハンコを使用するほうが賢明と言えるでしょう

最後に

著者の仕事である行政書士は、書面作成の専門家です。

そのため、ハンコ社会である日本において、ハンコの重要さを人一倍感じてきました。

普段何気なく押しているハンコが、トラブルの原因になることがあります

それは、プライベートでもお仕事中でも相違はありません。

「ハンコを押す」ということは、時にとても重い決断になるのです。

もちろん、普段の生活の中の宅急便受取時などに、頭を悩ませることはありません。

しかし、法律の世界では、ハンコを押して明確に意思を示した場合、その判断を覆すことは難しいです。

ハンコを押す際には、一度立ち止まって頂き、ご不明点があれば弁護士や行政書士へご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。 この記事が気に入っていただけたらシェアしてもらえると嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

三浦 哲郎 契約書作成専門行政書士

「行政書士三浦国際事務所所長」「行政書士・申請取次行政書士・文化庁公認著作権相談員・総合旅行業務取扱管理者」千葉県にて、契約書作成専門の行政書士事務所を経営しております(全国からのご依頼にご対応が可能でございます)。これまで、オーストラリア・フィリピンへの留学、フィリピン現地英語学校勤務、世界5大陸30ヶ国100都市以上へ渡航。趣味はサッカー(千葉県リーグ所属)。家庭では2児の父として奮闘しています。下記、「website」より当事務所の書類作成専門サイトに移行致します。