はじめまして。菅沼真澄と申します。
私は、現在、地方の2次救急指定病院にて、救急看護に携わっています。
2次救急でありながら、実際には、1次から、時には3次救急の患者様まで受け入れざるを得ない、混沌とした状況の中で、日々いろいろな葛藤を抱えながら勤務しております。
勤務している中で、「やっぱり英語がもう少し話せたら良かったな・・・」と感じる場面に遭遇することが、度々ありました。
今日は、その時のことをお話ししたいと思います。
最初に英語が必要だと感じた瞬間
少し話が脱線しますが、私は飛行機が好きで、ドライブがてら羽田空港まで足をはこんでは、デッキから離発着する飛行機をながめてぼーっとする、という時間を趣味にしていた時期がありました。
空港の空気感や、実際に飛行機で旅行に行くのが大好きです。
それがきっかけで、羽田空港内の医務室やクリニック勤務が出来たら!と思い、調べたことがありました。
しかし、実際にはとても狭き門であることがよくわかり、それ以上に「語学堪能」ではないことを言い訳に、その思いを封印した過去があります。
さかのぼってみれば、高校生の時に進路を決める際にも、本当はCAにも興味があったけれど、やっぱり英語ができないことや、母子家庭で経済的に困難であることを理由にして、諦めた経緯があります。
看護師として経験を重ねていく中で、そんなことは忘れ去っていたのですが、ある場面をきっかけにして、やっぱり英語を、日常会話くらいは話せるようにしておけば良かった!と思い出すことになりました。
心底、英語が必要だと感じた瞬間
私の勤務している病院は、港町なので、豪華客船が寄港することが度々あります。
ある時、寄港中の船内で、胸が苦しいと訴える外国人の方の受け入れ要請がありました。
日本語がまったく分からない英語圏の方です。
急性冠症候群の疑いが濃厚であったため、直接3次救急へ搬送されたほうが救命を考えればベターでしたが、どこの病院も受け入れ困難ということで、こちらで一旦受け入れることになりました。
来院時は、苦しがっていながらも、意識はあったのですが、救急室に入室してモニターをつけ、初期観察項目をチェックしながらルート確保している最中に、意識レベルが悪くなり、呼吸停止、ショック状態となりました。
すぐに救命処置が行われ、一命はとりとめましたが、「○○さん、わかりますか?」と意識を確認することひとつとっても、「え、なんていえばいいんだろう?」と考えこんでしまいました。
(Are you OK?)
(Can you hear me?)
(何て言えばいいんだろう・・・?)
そんな切迫した状況で、考えこんでいる時間もないので、ひたすら日本語で声をかけましたが、とてももどかしい気持ちでした。
船内の医師からの紹介状も、すべて英語でしたし、家族も英語と中国語がすこし話せる感じで、日本語はまったくわからない方でした。
結局、その患者様は、緊急手術のため転院になりましたが、きっと他国の地で、初めてのことに加えて、日本語がよくわからない状況で、すごく不安だっただろうなぁと思います。
そんな家族に、ゆっくり関わる時間はありませんでしたが、何かすこしでも安心できるような声かけが出来たら、と思うと、自身の英語力のなさを後悔しました。
そこまで切迫していなくても、最近は外国人の方が救急を受診されるケースもあり、微妙なニュアンスを英語でどう表現したらいいのかわからず、問診すらままならない、という場面が時々あります。
外国人患者目線では、看護師に英語は必ず必要なスキル
あるとき、外国人の友人に、日本の病院で受診したときに、困ることって何?と聞いてみたことがあります。
その彼女の話では、「自分の国では、そこまで細かいことを聞かないけど、日本の病院だと、例えばお腹が痛い、っていうと、しくしく痛いのか、ぐるぐるするのか、張る痛みなのか、とか、いろいろなことを聞かれるけど、それを表現する言葉がないから、意味がわからなかった」と教えてくれました。
背景には、言葉の違いだけではなく、文化や習慣の違いもあるんだなぁとそのときは思いましたが、
何はともあれ、日常会話程度の英会話と、基本的な医療英単語くらいは、ナースとして病院勤務している上でも必要な時代になったんだなぁと肌で感じています。
以前は、ネイティブ同様に英語が話せて、今はアメリカでナースとして活躍している同僚がいたので、外国人の方がみえても、安心していました。
英語が話せるスタッフが一人いるだけで、どれだけ現場で助けられていたか、今はよくわかります。
頻度はそんなに多くなくても、とっさの一言が自然と出てきたり、英語でコミュニケーションができるスタッフがいると、患者さんだけでなく、まわりのスタッフも安心するし、一目おかれる存在だと思います。
もし、英語学習を考えている看護師の方がいるなら、それだけで仕事の幅も広がるし、私と同じような後悔をしてほしくないので、ぜひ勇気をもって一歩を踏み出してみてください。
陰ながら、応援しています!
菅沼真澄さん プロフィール
平成14年看護師資格取得
7年間 ICU.CCU勤務
1年間 在宅医療・介護
2年間 一般企業にてCRC
2年間 精神科勤務
4年間 救急科勤務 現在に至る
そのほかには、CRCとして企業で働いていたときグローバル治験といって、世界同時に臨床試験をすすめるプロジェクトに関わったことがあります。
書類やウェブ上での記録やメール、ファックス説明文などがすべて英語表記なので、英語オンリーの環境に慣れておらず、英語が少しでも分かればいいなぁと思っていました。
どちらかというと、話すより読解力とライティングスキルです。
例えば、日本語での腰痛を、英語での有害事象としてどう表現するか?を製薬会社の担当者とディスカッションしたり….という感じでした。
私も看護師として、輝けるために少しづつですが英語を頑張りたいと思います!