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契約書の構成について 「契約書作成代行専門 行政書士が解説」


行政書士三浦国際事務所代表の三浦です。

こちらの記事では、契約書の構成についてご説明しております。

契約書を作成するにあたっては、多くの知識や時間を必要とします。

私たち行政書士や弁護士に契約書作成を依頼いただけることで、ご自身で関係法令を調査する必要がないため、時間の短縮にはなりますが、作成料という形で報酬を頂戴しなくてはなりません。

ご自身で作成頂くか、専門家にご依頼頂くか、に答えはないと思いますが、どちらを選択したとしても契約書として十分に機能する書面である必要がございます。

契約書の不備により、大きなトラブルに発展した場合の損害は計り知れません。

契約書は原則として、書式や内容を自由に作成することができますが、トラブルを避けるためにも一般的な構成は守る必要がございます。


契約書の構成について 「契約書作成代行専門 行政書士が解説」

「表題」「前文」「本文」「後文」「作成年月日」の順に記載することが、一般的な契約書の構成となります。

そして、「作成年月日」の下に、契約当事者の住所氏名の記入欄と捺印欄を記載することが一般的です。

「表題」

表題は、「業務委託契約書」「売買契約書」など、どのような契約を結ぶのか一目でわかるようなものにします。

表題には、示談書(双方の合意をまとめる書面)と誓約書(約束事をまとめる書面)など、意味合いが近しいものもございます。

「表題はどのように決定するべきですか?」というお問い合わせを多く頂きますが、表題で法的な効果が異なることは稀で、重要なのは本文に記載されている内容になります。

そのため、表題につきましては、「一目でどのような書類かわかるようにする」ということを心がけることが最も大切です。

当事務所では、示談書と誓約書の振り分け方は、双方の合意内容を記載し双方が署名捺印を行う場合は示談書、片方が相手方に約束する内容を記載し約束する側が署名捺印を行う場合は誓約書、にて作成させて頂いております。

「前文」

前文には、契約当事者を特定し、それぞれを「甲」「乙」などと定義することを記載します(契約当事者の特定)。

一般的に、前文でのみ株式会社〇〇などと契約当事者名を記載し、本文ではそれぞれに定義した「甲」「乙」と記載します。

また、上記と併せて、どのような契約を締結しようとしているのかを明確にする必要があります(契約対象の特定)。

記載例 「       (以下「甲」という)と          (以下「乙」という)は、次の通り業務委託契約(以下「本契約」という)を締結する。」 

「本文」

法律の条文と同様に記載することが一般的です(第1条....第2条,,,,,)。

規定の順番はございませんが、一般的には「契約の目的」など総則的な条項から記載していくことが、読みやすく望ましいとされています。

A4用紙1〜2枚程度の契約書であれば必要はございませんが、条文数が多い契約書の場合は、関連する条項をグループ化して第1章,,,第2章,,,,と記載する場合もあります。

また、本文中には、「一般条件」と「主要条件」を記載します。

「一般条件」とは、契約期間や秘密保持義務など、契約を行う上での一般的な条項のことです。

「主要条件」は、個別のケースに応じた契約の特徴的な条件のことです。

主要条件の例としては、「自動車の売買契約では、自動車の型式や値段」「業務の請負契約であれば、仕様や納入方法」を記載するということです。

ビジネスの場では主要条件を十分に話し合い、どのような契約の基に、双方が合意するのかを明確にしておく必要があります。

しかし、個別具体的に考えられる全てのケースを契約書に記載することは至難の技です。

そのため、一般的に「協議条項(契約書に定めのない事項や本契約の条項の解釈に疑義が生じた場合は、双方が誠意を持って協議するという内容)」を契約書に記載します。

「後文」

後文では、作成した契約書をどのような取り扱いにするかを記載します。

記載例 「以上本契約の成立を証するため、本書ニ通を作成し、署名捺印の上、各自一通を保有する」 

「作成年月日」

契約書には必ず、作成年月日を記載する必要があります。

作成年月日の記載がない場合、契約期間の起算点が不明となったり、どの法律が適用されるのかが明確でなくなってしまいます(通常、契約締結日現在に、施行されている各法律が適用されることになるためです)。

そのため、必ず作成年月日の記載が必要になります。

注意点としては、契約書に記載した作成年月日は作成日付を指すにとどまり、契約成立日や効力発生日と必ずしも一致するわけではないということです。

一般的には、契約書の作成日=契約の成立日及び効力発生日とみなされますが、契約書の作成日と契約の成立日及び効力発生日が異なる場合は、その旨を記載しておく必要があります。

まとめ

契約書の構成は、原則として自由です。

そのため、上記ご説明の「表題」「前文」「本文」「後文」「作成年月日」という構成になっていなくても、原則として、契約書としての効力は発生することになります。

つまり、構成要件を気にすることはないとも考えられますが、実務的にはある程度決まった構成で記載する必要があります。

流通している契約書には、商習慣的により一定の構成要件や記載事項があるためです。

特に、ビジネスの場では、契約書の構成により会社運営を判断されかねません。

当事務所では、契約書の構成と併せて主要要件もご一緒に検討させて頂きます。

契約書の構成や記載事項について、ご不明点がございましたら、お気軽に下記当事務所サイトよりお問い合わせくださいませ(ご相談無料)。

https://lp.connecting-the-law.com/contract-writing-2

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